2月13日付けの朝日新聞に国立国会図書館長 長尾真さんの電子図書館に関する記事が出ていた。Googleが進めている図書の電子化が英語圏を中心としていることに対する不安や知的所有権、著作権と情報公開との関係、非英語文化圏の文化資産のディジタル化への国家の対応などが語られていた。私も電子図書館の技術的側面の研究をしていたので長尾さんの指摘する事業的、行政的、法的課題は非常によく理解できる。
学術刊行物の世界では電子出版物が印刷物よりも多くなってきている。この傾向はさらに加速している。印刷物よりはるかに速く広範囲に情報流通できる電子出版が今後の主流になることは間違いない。その傾向は電子図書の流行にも見られる。電子化された膨大な知的資産をどのような形で蓄積し、未来へ伝えていくべきかを真剣に考える必要がある。100年後200年後にどのようなメディアで知的資産が維持されているのだろう。